PEOPLE

川崎と松本をゆるやかに行き来。
子どもと過ごすデュアルライフ

  • パラレル型
Nagano/365
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PROFILE

プロフィール

株式会社ガイアックス 社長室兼Otell事業責任者
塩尻市 特任CCO(Chief Communication Officer|最高コミュニケーション責任者)

千葉 憲子

年齢/30代 家族構成/4人家族(夫、子ども2人)
デュアルライフ歴/2019年から年の1/6ほどを長野県内で過ごす。コロナ禍で一時休止中。
毎月の生活コスト/住居費(約15万円)、長野への交通費(約1.5〜2万円)、長野での滞在費(約2万円)

――場所や時間を限定されない働き方を求めて、出社ペースも仕事量も自分で選べる企業に転職した千葉憲子さん。その環境を生かして、川崎と地元・松本をゆるやかに行き来するデュアルライフを始めた。2020年からは塩尻で副業もスタート。新しい暮らしと働き方を切り拓いている。

子どもとのデュアルライフをかなえるために転職

都内の企業で働きながら、川崎と実家のある松本をゆるやかに行き来する千葉憲子さんのデュアルライフは、2人の子どもといつも一緒だ。小学校の夏休みや春休みに合わせて長いときは約1カ月、松本に滞在する。その間、仕事は完全リモートワーク。パソコンを開けばどこでも仕事ができる。


「子どもたちは、実家の田んぼや畑で遊ぶことをすごく楽しんでいます。虫をつかまえたりおじいちゃんのトラクターに乗せてもらったり、朝から晩まで遊び倒していますよ(笑)。
2020年の緊急事態宣言で自宅にカンヅメになったときは、私も子どもたちも息苦しくて。落ち着いたタイミングで松本に行ったときは本当に心が開放されました。広い場所で自然に触れることはやっぱり大切だと実感しましたね」


2019年にデュアルライフを始めたきっかけも、子どもたちだった。千葉さん自身が自然の中でのびのびと育ったこともあり、「親が都会で働いているという理由だけで、子どもたちも都会で生活しなければいけないの?」と感じるように。地方と行き来する暮らしができないか、真剣に考えるようになった。


当時働いていた会社は「ザ・日本企業」。女性の働きやすさへの配慮も薄く、働き方の自由はきかない。思いが高じて2018年、転職を果たした千葉さん。現在はソーシャルメディアやシェアリングエコノミーの事業を行う都内の企業「ガイアックス」で、秘書業務や新規事業を手がける。


ガイアックスを選んだ理由は、自由に働き方を選べるから。同社は出社日も出社時間も仕事量さえも、社員本人に裁量があるのが特徴だ。


「週3日だけ出社してもいいし、週5日フルコミットしてもいい。それに見合った報酬を交渉できます。結果さえ出せれば働き方を自由に選べる体制が、コロナ禍前から整っていました。そんな環境だから、デュアルライフを始めるハードルは低かったですね。うちの会社、地方移住をしているメンバーがめちゃくちゃ多いんですよ(笑)」


コロナ禍前から基本的に出社は週1回のみ。それ以外は自宅で仕事をしたり、子どもたちの休みに合わせて松本で過ごしたりというスタイルを続けている。ちなみに海外在住のメンバーも多いため、ミーティングはコロナ禍前からオンラインが当たり前。社外で複数の仕事をする『複業』を実践する社員も多い。


川崎の自宅から松本までは、特急あずさを使って約3時間。平日の移動時間は休暇扱いになるが、それ以外は東京のオフィスで仕事をしているのとほぼ変わらない。


長野にいるときの仕事場は、実家から自転車で行ける距離にある大学の図書館やカフェ、コワーキングスペース。集中して仕事をしたいときは図書館で、息抜きしながらゆっくりしたいときはカフェで、といったように毎朝、行き先を決める。


松本以外へ足を向けることもある。誰かと話しながら仕事をしたいときは、仲のいいメンバーがいる富士見町の『富士見 森のオフィス』や塩尻市の『スナバ』などのコワーキングスペースで過ごす時間が好きだ。


「コワーキングスペースなどを通じて長野でもいくつかのコミュニティに出会い、知り合いが増えました。そこで感じるのは、長野と首都圏では違う魅力がある人と出会えるということ。それがデュアルライフの魅力だと思います」

塩尻市の特任CCOに!長野で副業を実現

以前から漠然と「仕事を持って行き来するだけではなく、地元でも仕事を持てたら」と考えていた千葉さん。そんな折、高校時代の友人がこんな連絡をくれた。


「塩尻市役所が副業で事業にかかわる人を募集している。絶対にやりな!」


発信元は、塩尻市役所の地方創生推進課。副業限定の特任CMO(最高マーケティング責任者)とCHRO(最高人事責任者)を募集してブランド戦略を立案する事業を始めようとしていたのだ。


「正直自分のスキルとは違っていたんですが、塩尻市の取り組みには興味があったし松本からも近いので、まずは応募してみたんです。そのときは選ばれませんでしたが、事業の成果がよかったことで、新たに5人のCxOを追加して塩尻のファン作りを行うプロジェクト『MEGURU プロジェクト』が発足。そこで、特任CCO(最高コミュニケーション責任者)に選んでいただきました」


CxOとは「Chief x Officer」の頭文字を取ったもの。xにはそれぞれ担当する業務が入る。塩尻市には、全員副業・他地域の民間企業勤務のCxOがなんと7人もいる。全員がその道のプロフェッショナルだ。ミッションは、多くの人に塩尻を知ってもらうこと、訪れてもらうこと。千葉さんはコミュニティづくりや場づくりのスキルを活かして参画している。


それまでも千葉さんはイベント運営やコミュニティ運営など、社外で副業を持っていた。仕事の割合は時期によって違うが、副業が忙しい時期は本業と副業が7 : 3ぐらいになることも。


「最初はプライベートの延長のような仕事から始まりましたが、今ではある程度の副収入になっています。いろいろな地域や団体で働けることは、仕事の安定にもつながります」


そうはいっても、副業というとスキルが高い器用な人がやること、というイメージがある。すると千葉さんは「分かります。でも、意外とできるものなんですよ」とうなずく。


「塩尻市の公募に最初はもれたけど別の役割で声がかかりましたし、自分がやれることって意外とあると感じます。ただ地方には、仕事をしたい人と求める人がマッチングする仕組みがなかなかない。地域で何が課題なのか見えていなかったり、外の人に副業で頼む文化がなかったり。現状は地域のハブになるコワーキングオフィスにアクセスすることで、地元の仕事とつながりやすくなると思います」

まずは気軽に、スモールに始める

デュアルライフでネックになるのが、拠点を2つ以上持つ経費と交通費だ。千葉さんのように実家を利用して気軽に始めるのも手だが、今は気軽なサービスも増えているので、「まずは週末だけ、スモールに始めてみるのがいいと思う」と千葉さん。


「例えば定額住み放題サービスの『ADDress』は、長野県内に泊まれる拠点がたくさんあります。ホテルのワーケーションプランも増えているし、自治体のお試し移住プランもありますね。滞在に合わせて仕事を調整しようと思うとストレスになってしまうので、まずは土日+αで過ごしてみるところから始めるのがいいんじゃないかなと思います」


もし地域とゆるやかにつながりたいなら、コワーキングスペースを利用するのが近道だ。場所によっては移住者やデュアルライフを実践している人が集まっているので、質問したり相談したりできるかもしれない。


「長野と行き来を始めてから、地域はやっぱり『人』だなと感じました。私が行っている『富士見 森のオフィス』も『スナバ』もしっかりコミュニティができていて、コアになる人がいる。そうした場所につながり関わり合うことで、長野がもっと好きになる。すごく重要な存在です」

子どもも大人も、どこでもやりたいことをやれるように

千葉さんは今のところ、完全移住は考えていない。イベントやコミュニティ運営などリアルで人をつなぐ仕事が多く、東京で得るものも多いと感じているからだ。もう一つの大きな理由が、子どもたちの学校。住む地域で学校が決まってしまうから、地域選びはある意味、大人以上に難しいと感じる。


いっぽうで、IT業界で働く千葉さんのまわりにはオンラインの学校に子どもが通っているという人も増加。場所を問わずに、受けたい教育を受けられる環境が整いつつあると感じている。


「有名なところだとドワンゴ学園の『N中等部』や『N高等学校』は完全オンラインのネット上の高校。レベルもかなり高いです。そんな状況を見ていると、東京に住んでいわゆるいい私立学校へ行くことがベストなのか?と考えてしまいますよね。大学もコロナウイルスの影響で今はほぼオンライン授業だし、教育でも場所の制約はなくなっていくかもしれません」


「今は私のデュアルライフに子どもたちを付き合わせているだけですが(笑)、都会で過ごす以外の選択肢も示してあげることで、子どもが自分で選べるようになれたらいい。塩尻市では、一人の生徒が複数の学校に就学できる『デュアルスクール』も取り入れていて、もちろん課題は多いとは思いますが、一つの選択肢になりますね」


技術が進化し、働き方が変わり、社会がどんどん動いていく時代。千葉さんは10年後、どんな暮らしをしているのだろうか。


「私自身は『どこに住む』という考え方がなくなっているだろうと思います。10年後は子どもたちも高校生なので、極端な話、離れて暮らしてもいい。仕事がどうなっているかにもよりますが、『住むべき場所』ではなく『やりたいことができる場所』を選んでいるんじゃないかな」


現在、社内ベンチャーとして仲間と『Otell』というホテルケーションの新規事業を立ち上げている千葉さん。仕事環境の整った平日4泊5日のホテル検索サイトで、千葉さん自身の経験も生かされている。働く場所を起点に、自分だけの働き方を見つけることで、自分らしい生き方の探索と実現をも叶えていく、そんな後押しができたら良いと千葉さんは語る。


今後事業が軌道に乗れば独立も視野に入ってくるし、働き方ももっと自由になるかもしれない。まだまだ可能性は未知数だ。

9:00川崎を出発
子どもたちを連れて、川崎から立川に出て「特急あずさ」に乗車。松本の実家まではドア・ツー・ドアで約3時間。夫と家族そろって行くときは車で行くことも。
12:00松本駅に到着
実家に向かい、両親と近況報告。
昼食後、子どもたちは外へ遊びに行ったり、畑や田んぼの手伝いをしたり。
14:00近くの図書館へ
ノートパソコンを持って自転車で近くの大学の図書館へ移動し、リモートワーク開始。のんびりしたいときはカフェで作業をしたり、時間があれば実家の車を借りて塩尻や富士見町のコワーキングスペースに行く。
18:00帰宅、庭でバーベキュー
夕食は親族も集まって庭でにぎやかにバーベキュー。川崎では気合いを入れて一大イベントになりがちだが、庭が広い実家だからこそ気軽に楽しめる。
▼ タイムスケジュール 長野で過ごす1日
8:00出勤
自転車に次男を乗せて保育園に送った後、最寄駅から永田町のオフィスへ。
会社までは、送迎を入れてトータル1時間。
満員電車でつらいこともある。
9:30仕事開始
オフィスでは基本的にパソコン作業。
コロナ禍前から基本的にミーティングはオンラインで行う。
12:00ランチ
永田町のお気に入りのお店へ。
リモートワークが多いので、出社した日は好きな店や気になっていた店へ行く。
17:00退勤
保育園へ次男を迎えに行き、帰宅。
家族と夕食をとったり、子どもとお風呂に入ったり。
▼ タイムスケジュール
東京+神奈川で過ごす1日

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