PEOPLE
自分のスキルを長野の中小企業活かす
副業・兼業のリアル
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パラレル型
PROFILE
プロフィール
Y
首都圏の企業で働きながら、2019年10月より製本や印刷を手がける「ダンクセキ株式会社(長野市)」で副業を行う。
移住未満の地方への関わり方として、地方企業での副業・兼業が注目を集めています。そこで今回は、地方中小企業に特化した副業・兼業の斡旋を行う株式会社JOINSの山本さん、そしてJOINSのサービスを活用し、長野市内の企業で副業を行っているYさんにインタビューを実施。
どんな人が地方企業での副業案件に向いているのか等、長野の企業での副業・兼業のリアルについて迫りました。
そもそも副業の定義とは?
「JOINSでは、副業・兼業と言葉を使い分けています」と、山本さん。
「副業」は特定の企業と雇用契約があり、業務時間外に別の企業で仕事をする人材。そして「兼業」は特定の企業との雇用契約を持たず、複数の企業と業務委託契約を結び働いている人材で、いわゆるフリーランスのような人材を指している。
近年、JOINSでは副業の受け入れ企業が増えてきているという。現在1000社以上の企業、9000名以上の副業・兼業人材の登録があり、長野県内でもすでに70名以上の副業人材が県内企業で副業を行っている。
地方でも「自分のやりたいこと」がマッチした
Yさんが副業を始めたのは、地方企業の副業・兼業に特化した人材シェアリングサービス「JOINS」がきっかけ。当時、週刊誌で組まれていた副業特集を読んで、さまざまな副業の案件を紹介しているサイトに応募した。その結果、マッチングしたのがJOINSで紹介されていた長野市の製本・印刷を主力事業とするダンクセキ株式会社だった。社長との距離が近く、自分のスキルアップにもつながると感じたのが、決め手となった。
しかし、選んだ会社がたまたま長野だっただけで、地方での副業にはあまり良いイメージを抱いていなかったというYさん。距離が離れているとプロジェクトとしてうまく成立しないのでは?と消極的だった。
「正直、地方での副業はやりたくなかったんです。今の会社に決めたのは、業務内容が自分のやりたいことと合っていたことが大きいですね。始める前に現地での面談を通じてきちんと話をさせていただいて、リモートでも業務ができそうですし、この役割だったらちゃんとできるかな、って」
「ダンクセキさんは元々製本の会社なのですが、他社よりも早いタイミングでオンライン上でフォトブックが製作できるサービスを始めていたんです。WEBで検索してみると品質が高いと評価されていて、それこそ大手のフォトブックを製作している印刷会社と比較されているポジションだったんです。それが純粋にすごいなって。そういう企業って基本的に都市部に集まっているイメージがあったので、長野の会社がやっていることを知った時には、びっくりしましたね」
副業が生むメリットと難しさ
本業では、さまざまな中小企業に対してサービス提供を行っているYさん。
しかし、実際のお客さんが、どのように商品を使ってくれているか分からないこともしばしば。そんな中、長野での副業を通して、地方の中小企業のリアルな課題に触れることができたという。
「東京で仕事をしていると、地方の中小企業の人たちが、どんな課題感を持っていたり、何に困っているのかわからなかったんです。今回の副業を通して長野の中小企業の人と一緒に仕事をさせてもらうことで、実際の雰囲気を知ることができました。例えば、毎日15時からおやつの時間があるんだなとか(笑)一日の働き方を見ていると、お客さんの解像度が自然と上がるし、自分自身の中でのペルソナが出来上がってくる気がするので、会社側の立場に少しでも関われるというのは貴重な経験ですよね」
その一方で、地方での副業の難しさを感じることも。
「会議などリモートで参加する場合には、自分の成果物やアウトプットに対して喜んでもらえてるかどうか、相手のリアクションが分かりづらい部分もある。会社にいたら違ってくると思うんですけど、特に副業だと自分の業務がどこまで会社に貢献できているのか、気になるところですよね。なので、基本的には直接お会いしたときに、自分が期待に添えられているか、毎回コミュニケーションを取るようにしています」
副業に向いているのはこんな人
Yさん「ダンクセキで一緒に取り組んでいる人曰く、『言わなくてもやってくれる人はありがたい』と。先方から指示を待っているのではなく、自分から成果物について企業の方と合意形成をすることが重要だと思います。出すことがあるので、その辺は分かりやすさがありますね」
山本さん「実際に企業側の声をヒアリングしているんですが、企業への理解や社員さんに対して敬意が足りていない方は、スキルがあっても短期間で解約になることが多いです。都市部の経験をそのまま地方に当てはめようとしてうまくいかないパターンは、まさにこれが言えると思います。あとは、相性もあると思いますが、頻度良くコミュニケーションが取れている方は長く続いていますね」
副業を始めたい人へメッセージ
Yさん「副業がなければ、長野やダンクセキさんとの接点も全くなかったと思うので、そういう人たちと縁をいただいて仕事できたというのは、自分のスキルの幅を広げる意味でもすごく役に立っています。仕事だけでなく、こうやって長野に来て自然に触れたり、普段都内で生活していると知らないことを知れたりして、金銭的なもの以外で人生にとってのプラスも多いですね。それまでは訪れたことがなかった長野市も好きになりました。この辺は都内で副業していたら経験できないことなので、改めて魅力だなと思います」
山本さん「地方にはたくさんのチャンスがあります。副業してみたいけど、こんなスキルじゃできないんじゃないか……と不安に思っている方もいるかもしれません。しかし地方の方からするとすごくありがたいスキルだったりするので、臆せずチャレンジしてほしいです!」